らっきょう
rakkyo
鳥取市の名物である「ふくべ砂丘らっきょう」・「鳥取砂丘らっきょう」はJA鳥取いなばの主要品目の1つです。年間を通じて全国に向けて販路拡大を行っており、鳥取県の特産品の知名度も高いです。平成28年産のらっきょうは、全国の作付面積が756ha、全国の出荷量が8,836tであったのですが、なんと福部の作付面積は114ha、出荷量が1,830tというように全国有数のトップシェアを占めています。
福部のらっきょうの歴史は古く、江戸時代に参勤交代の付け人が持ち帰ったことが始まりと言われています。当時は、少数の農家で自家用として栽培されていたのですが、大正初期に産業組合を設立し本格的に生産及び販売に取り組みようになりました。昭和26年に農協の合併により福部村農協が誕生して『砂丘らっきょう』の統一ブランドで販売され、昭和40年には福部村にらっきょう加工施設が設置され福部村農協が塩漬らっきょうを本格的に販売開始しました。
そして平成14年には栽培開始100年、平成26年には福部『砂丘らっきょう』販売開始から100年を迎え、平成28年には農林水産大臣により認められGI登録を受けることが出来ました。
鳥取砂丘らっきょうが長い間栽培され続けてきたのには理由があります。
まず1つ目として、鳥取砂丘らっきょうはこの地域でしか栽培できない特別ならっきょうだからです。JA鳥取いなばでは『らくだ種』という品種のらっきょうを栽培し、販売しています。『らくだ種』の特徴は肉質がしっかりした長卵形で鳥取砂丘のような地力が低く保水力・保肥力の乏しい土壌であり「不毛の地」とも呼ばれた土地でも生育することのできる乾燥等に強い種です。栽培に適した種だけでなく保水力、保肥力の乏しい環境であるがゆえに鱗片は薄く何重にも重なり、身の締まりが良く繊維が細かいために歯切れが最高となりシャキシャキとした食感を生み出しています。
またらっきょうは通常、栄養素の良い所で作ると玉ねぎのような飴色のらっきょうが出来ます。しかしJA鳥取いなばの鳥取砂丘畑のような栄養素がない所で作ると色白の『鳥取砂丘らっきょう』となります。このようにシャキシャキとした食感、色白という特徴により市場で特に高い評価を受けています。
2つ目は、らっきょうの特性と地域の活性化の結び付きがあるからです。らっきょうは7月下旬から9月上旬にかけて植付けを行います。機械で植付けを行わずすべて手植えします。シーズン中には植え子さん(植付け作業をする人)は1日あたり1万5千株を手植えします。最高65度の地表温度に加えて、砂地にV字の畝を作るために湿らせた水分が蒸発して、大変暑い中の作業となります。
収穫時期の5月下旬から6月中旬には、出荷をするために葉と根を切り落とす根切り作業を一株一株丁寧に行います。機械ではできない伝統的な切り方で、おいしい所を出来るだけ多く、食べてもらう人に味わってもらうための大切な作業です。
このようにらっきょうの手植え作業や根切り作業は、福部地域のたくさん雇用を生んでおり、鳥取砂丘らっきょうが古くから福部地域に深く根ざしてきた理由の1つです。また、大量生産・大量販売ではなく、誇りをもって育てた鳥取砂丘らっきょうを食べる人に届けたいという生産者の想いが、100年間生産し続ける原動力となったのです。
現在では鳥取県を代表する観光地「鳥取砂丘」に隣接している「鳥取砂丘らっきょう」の畑、葯115haを67戸の生産農家が守っており、10月下旬には薄紫色のらっきょうの花が一斉に咲き誇り、まるで紫の絨毯を一面に敷き詰めたように美しく、風景として代表的な風物詩となっています。近年では、様々なイベントを生産者と我々JA鳥取いなばの協力の行政主催で行っています。らっきょうの花が咲いた畑の道を走る「らっきょう花マラソン大会」、らっきょう畑の加工品の販売等の「らっきょう花フェアー」等のイベントを通じて鳥取の魅力のPRや産地の活性化に繋げています。
『鳥取砂丘らっきょうが「地理的表示保護制度」に登録されました!!』トピックス
さんいんまなびプロジェクト専用サイト「さんいんまなび」にJA鳥取いなば福部らっきょう加工センターの記事を掲載いたしました。